落葉の栞

埋もれてしまった良書を貪る日々

シンプルマーケティング

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今日紹介するのはプロダクト・コーン理論で有名な森行生さんの『シンプルマーケティング』という本です。

マーケティングの本質は戦争であり競合相手に勝つための戦略と戦術を考えること。
対立する敵がいなければ戦争が起きないのと同じように、市場に競合他社がいなければマーケティングを行う必要は無い。

逆に言えば「マーケター」という職があること自体、あらゆる市場で企業同士が戦っている証左なのではないかと思います。


レバレッジメモ

強いブランドは商品の「記号」と「意味」を一致させている
→ブランドの強さは、ブランド名とそのブランド名から連想される定義がどれだけリンクしているか(〇〇といえば△△の店、△△の店と言えば〇〇となっているか)

アメリカ型のブランド

→19世紀初頭のアメリカでは値段が均一ではなかった。
→10セントストアの台頭。価格を統一するために、パッケージが登場する。
→店が乱立し競争が始まる。他の10セントストアと差別化を図ろうと画策する。
→パッケージにストアネームが記載され、ストアブランドができた。
→誰が買っても一定の品質を得られる。これを買えば失敗しないというリスクヘッジの考え方。

ヨーロッパ型のブランド

ルネッサンス時代のヨーロッパ貴族の関心の1つがファッション。
→気に入った服を注文したくてもデザイナーが誰かわからないので、襟に名前をつけることになった。
→気に入ったモノの品質と相当のものをリピートするための手がかり。

現代のブランドを構築するメリット
・企業側にとってはリピートの手がかりを提供することでコストを削減できる。
・ユーザーにとっては一定の質を努力せずに得る手がかりとなる。

プロダクト・コーン理論
規格=企業側の商品定義
ベネフィット=生活者の得すること・もの
エッセンス=商品が持つ性格(擬人化)

イノベーター理論
市場における、商品やサービスの購入者を以下のように区分して考える。

 ・イノベーター(10%)
一般的な心を持ったマニア

アーリーアダプター(20~30%)
ベネフィットで動く人たち

・フォロワー(60~70%)
一般大衆

世に出された商品やサービスは原則的にイノベーター→アーリーアダプター→フォロワーの順に浸透していくが、商品戦略の成功のカギを握るのはアーリーアダプターである。アーリーアダプターはフォロワーに対する強力なセールスマンの役割を果たすので、ヒット商品を育てる観点から言えばアーリーアダプターの目を引きつけることが一番。

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▲どのタイプにどんな訴求をすればいいのか一目瞭然


スキミング&ペネトレーション戦略


スキミング戦略とは
イノベーターに受けそうなハイスペックで高価格な商品を開発し、広まったところで大衆向けに安価なものを販売するような方法のこと。

ペネトレーション戦略とは
スキミング戦略とは逆方向に市場を誘導する方法。大量の広告を投下し、店に商品を陳列して「売れている」感を出す。流通力と資本力のある企業のみ許される。

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