落葉の栞

埋もれてしまった良書を貪る日々

戦略PR-空気を作る 世論で売る

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まだ入社したばかりの頃に「広告とPRの違いって知ってる?」と聞かれたことがある。マーケティングに携わる人でもその違いを知っている人はなかなかいないらしい。商品が売れるための空気ができていなければ、いくら広告を出しても全く意味がないと社長が言っていたことを思い出した。

ユーザーを買いたい気分にさせる空気。それを作り出すのが戦略PR。

レバレッジメモ


空気の役割は「気づき」を与えて「買う理由」を生み出すこと
(なんだか自己啓発本みたい)

戦略PRテーマのコツは「自分が言いたいこと」をテーマにするよりは
「世の中のみんなが興味を持っていること」から引っ張ってくる

戦略PRのステップ
1.商品の便益に関連しそうな世の中の「関心ごと」を調べる
2.商品の便益を世の中のユーザーの関心に合わせて翻訳する
3.その2つを結びつけ、テーマを設定する
4.テーマをニュースにするための材料を用意する
5.テーマを広げるための具体的なPRプランを用意する

カジュアル世論をつくるための3要素
1マスコミの活用(おおやけ感を生み出すため)
2口コミの活用(ばったり感を生み出すため)
3インフルエンサーの活用(お墨付き感を生み出すため)


戦略PRの具体例


1.明治「LG21乳酸菌入りヨーグルト」

→ピロリ菌という位の壁を傷つける最近が発見され、実は日本人の50%が感染している。胃潰瘍や胃炎の原因になるから除菌したほうがいいという空気
→「私のお腹痛いのって、ピロリ菌の仕業だったのね。なんとかしなきゃ。でも抗生物質を使うのはなんだか抵抗あるわね。」
→LG21乳酸菌入りヨーグルトの登場
→「これで毎日の生活の中でピロリ菌対策ができる!」

2.サントリー「父の日にウイスキー
・お父さんがもらって嬉しいもの、娘があげたいもの第1位はウイスキー
・娘の方は父親の想像以上に「愛しているし、尊敬している」
という事実にサントリーが注目
→「お父さんに朗報!約8割の女性が父親を愛している」
「父の日にもらって嬉しいお酒、1位はウイスキー」と打ち出す
→父の日にはウイスキーよねという自然な時流感が生まれる

3.アディダスジャパン「迷走ランナー」
→ランニング領域でシェアを広げているアディダスで、さらに他社と差別化したポジションを取っていけるかが課題。
→日本人の5人に1人がランナーという事実。ランニングがブームとなっているものの、この数字はあまりにも多くないだろうかという疑問を持つ。
本当にみんな走っているのか、実は悩みや課題を持っているのではないかという仮説を立てる。
→さらに調査を実施すると、7割を超える人がランニングを継続できない何らかの課題を抱えていることが検証された。仮説の予想以上の規模でランナーは迷っているという事実が浮き彫りになった。
→戦略PRのテーマを「迷走ランナーに決定」